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内田 真弘; 星 勝也; 山崎 巧; 辻村 憲雄; 高田 千恵
no journal, ,
放射性物質により皮膚汚染が生じたとき、汚染の表面密度と換算係数を用いることで皮膚の被ばく線量を算出できる。VARSKIN6.2で計算した換算係数は、皮膚汚染に対する評価に適している。一方、衣服上の汚染のとき、VARSKIN6.2で計算した換算係数では、衣服の遮蔽効果を過大評価し被ばく線量を過小評価してしまう、と報告があった。そこで、モンテカルロ計算結果、VARSKIN6.2において衣服の遮蔽係数を考慮した被ばく線量、VARSKIN6.2ではない衣服の遮蔽係数を考慮した被ばく線量について比較することで、VARSKIN6.2における衣服の遮蔽効果の影響を検証した。
奥田 貴大
no journal, ,
次世代高速炉プラントのシビアアクシデント(SA)時に対応した超高温における316FR鋼の材料特性式の設定について述べる。福島第一原子力発電所における事故以来、高速炉プラントにおいてもSA時の構造健全性評価が重要視されている。次世代高速炉プラントの開発には、炉心溶融時における溶融燃料の炉内保持成立性を明らかとすることが必要であり、SA時の構造健全性評価に適用可能な316FR鋼の超高温材料特性が要求されている。しかしながら、そのような316FR鋼の材料特性は取得されていなかった。したがって、316FR鋼を対象に、700Cを超える試験温度で引張試験とクリープ試験を実施した。この試験で得られた結果を基に、316FR鋼の超高温材料特性を良好に評価できるクリープ破断関係式及びクリープひずみ式を設定した。
松下 健太郎; 伊藤 啓*; 江連 俊樹; 田中 正暁
no journal, ,
ナトリウム冷却高速炉(SFR)では、炉心反応度擾乱やIHXにおける熱交換率低下等を防止する観点から、一次冷却系統内の非凝縮性ガス量を制御することが重要である。このため、日本原子力研究開発機構ではSFRの一次冷却系統内の気泡・溶存ガス挙動評価に資するべく、数値計算コードSYRENAを開発している。本研究では、タンク型高速炉を対象にSYRENAのフローネットワークモデルを新たに構築し、一次系統内の気泡挙動を解析した。さらに、フローネットワーク内の上部プレナム部にD/Pモデルを導入し、D/P上下間のナトリウム交換流量および自由液面での気泡巻込み量をパラメーターとした解析を行うことで、一次系統内の気泡・溶存ガス挙動に対するD/P導入の影響を調査した。解析結果から様々な条件下における気泡挙動が得られた。特に自由液面での気泡巻込み量が多い場合と少ない場合とで、D/P上下間の交換流量の増加に対する一次系統内の気泡量の変化が異なることが示された。
神田 直之; 木島 惇
no journal, ,
ウラン濃縮施設の廃止措置に向けて、ウランを含有する廃油の処理に水蒸気改質処理を計画している。廃油の水蒸気改質処理期間の短縮を目的に廃油を減圧下で加熱し、廃油から溶媒を揮発除去後、回収する溶媒除去試験を実施した。試験の結果、廃油を減圧下で加熱することにより、廃油から溶媒を回収することができる見通しを得た。また、熱分析(TG)を用いて廃油中の溶媒の有無が判定可能であることが分かった。さらに、廃油から溶媒を除去することにより、廃油の処理期間短縮に加えて、廃水処理期間の短縮と固体廃棄物の低減が可能となる見込みである。
日下 良二; 渡邉 雅之
no journal, ,
溶媒抽出法による元素分離技術の向上を目指して、金属元素が水相から有機相へ抽出されるメカニズムを解明する研究を行っている。本発表では、振動和周波発生(Vibrational Sum Frequency Generation: VSFG)分光法を用いることによって得た、金属元素が相間移動するメカニズムに関するこれまでの研究結果を総括的に発表する。これらの結果を踏まえて、これまでには無い全く新しい方法で溶媒抽出法を向上させる方法を提案する。
山下 勇人
no journal, ,
次世代高速炉プラントの高温部材として、改良9Cr-1Mo鋼が候補として挙がっている。本鋼種の溶接継手は高温長時間におけるクリープ強度が母材よりも低下するとの報告がある。また、経年劣化や溶接後熱処理を加えた溶接継手に補修溶接を加えると、補修溶接を行っていない溶接継手よりも強度低下するとの報告がある。そこで、本研究では次世代高速炉プラント新規建設時に改良9Cr-1Mo鋼溶接継手に対して想定される補修溶接の位置、回数がクリープ強度へ及ぼす影響を調査し、補修溶接法を開発した。補修溶接の熱影響部が溶接金属であること、あるいは補修溶接による溶接熱影響の重畳し、かつその部位で破断した場合、クリープ強度が低下することが明らかとなった。そして、補修溶接時の熱影響部が溶接金属となる部位と熱影響部が重畳する部位を最小限とする補修溶接法を示した。
金子 政志; 加藤 茜*; 中島 覚*; 北辻 章浩; 渡邉 雅之
no journal, ,
高レベル放射性廃液中において、ルテニウムはニトロシルルテニウム[Ru(NO)]として存在し、硝酸イオンや水酸化物イオンの濃度に依存して多様な安定性を示すが、その詳細な安定性は未だ明らかになっていない。ニトロシルルテニウムの安定性解明に向けた第一歩として、本研究では塩化物イオンやアンモニアなどの基礎的な配位子を有するニトロシルルテニウム化合物の構造・結合特性に着目する。単結晶構造を参照したモデルを用いて、密度汎関数法による水溶液中の安定構造を計算した結果、ルテニウムと配位子との結合距離やニトロシル基の伸縮振動エネルギーの実験値をよく再現した。また、錯体の電子密度解析に基づいてRuメスバウアー異性体シフトを見積もった結果、実験値をよく再現した。当日は、分子軌道解析による配位子場分裂の結果とメスバウアー異性体シフトとの相関について議論し、錯体の安定性が何に起因しているか考察を行う。
三枝 祐; 山本 昌彦; 稲田 聡; 久野 剛彦
no journal, ,
高放射性廃液(HAW)中のSeは、ガラス固化体の処理処分における存在量・線量評価上、重要な核種である。また、Iは、使用済燃料のせん断・溶解オフガスに移行し、HAW中には含まれないと考えられるが、分析報告例はほとんどない。しかし、HAWに含まれていた場合、ガラス固化体処分時に環境へ長期間影響を及ぼすため、線量評価上、詳細な濃度把握が必要である。これらは長半減期の低エネルギー線放出核種であるため放射能分析が困難な核種であり、高感度な分析法である誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)では、同重体干渉による測定誤差が大きく、従来法ではSe, Iの正確な分析が困難である。そこで本研究では、セル中に反応ガスを導入し、測定対象イオンや同重体イオンを反応させ、化学形態を変化させることで同重体の影響を排除可能なコリジョンリアクションセル型ICP-MSを使用したSe, I分析法について検討した。本発表では、HAW中のSeの定量、及びIの高感度な測定のための基礎試験結果を報告する。
宮崎 康典; 渡部 創; 中村 雅弘; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
使用済燃料再処理で発生する高レベル放射性廃液はガラス固化体として地層処分されるが、放射性廃棄物減容化および有害度低減の観点から、マイナーアクチノイドの分離変換が望まれる。我々は、マイナーアクチノイドを選択的に分離回収する抽出クロマトグラフィの技術開発を行っている。これまでにイオンの分離挙動をシミュレーションする計算コードの整備を進めてきたが、クロマトグラムを再現するまでに至っていない。そこで、J-PARCのパルス中性子照射ビームラインを活用した共鳴中性子イメージングの実施によって、イオン(または吸着バンド)が相互分離する様子を非破壊観測する。多孔質の粒子内拡散や分散等の情報を計算コードに反映し、シミュレーションを高度化するとともに、実プロセスにおけるカラム分離性能の向上を図る。
佐藤 淳也; 入澤 啓太; 中澤 修; 高岡 昌輝*
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アルミノシリケート硬化体は、材料自体に固定化性能を持つ無機固形化材料である。先行研究より、アルミノシリケート硬化体のSi/Alモル比が小さいほど鉛等の重金属を強固に固定化する可能性が報告されている。しかしながら、これまで原料として利用されている非晶質Si-Al粉末のSI/Alモル比は1以上である。したがって、よりSi/Alモル比の低いアルミノシリケート硬化体を対象に鉛の固定化を調査するためには、Si/Alモル比の低い原料を合成することが必要である。本研究では、試薬からSi/Alモル比が0.5の非晶質Si-Al粉末を開発した。開発した非晶質Si-Al粉末を用いて、鉛を含むSi/Al比を変えたアルミノシリケート硬化体を作製し、Si/Al比の変化が結晶相や鉛の浸出性に及ぼす影響を評価した。鉛の浸出性の評価結果から、鉛の固定化に最適なアルミノシリケート硬化体のSi/Alモル比を明らかにした。
橋立 竜太; 加藤 章一; 鬼澤 高志; 若井 隆純; 笠原 直人*
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過酷事故時には、原子力発電所の構造材料は過度の高温にさらされる。過酷事故時の構造物の終局破損様式を把握することは非常に重要であるが、そのような過酷事故時の破壊メカニズムは明らかにされていない。しかしながら、実際の構造材料を用いて構造物試験を実施することは非常に難しく、かつ高価な試験になる。そこで、実際の構造材料の代わりに鉛合金を使用した構造物試験を提案する。鉛合金の強度は実際の構造材料の強度よりもはるかに小さく、低温, 低荷重で試験を実施することが可能である。低温における鉛合金の破壊機構と過渡の高温における実際の構造材料の破壊機構の類似性を実証するために数値解析が必要である。鉛合金の材料特性を把握し、数値解析(有限要素解析)に必要な鉛合金の非弾性構成式を開発する。
廣田 賢司
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水分分析法についてPuセンターでは五酸化リンによる電解法を用いているが、分析装置は既に販売されていないため、今後導入する水分分析装置はカールフィッシャー法によるものとなる。当該手法ではメタノール等の有機溶媒とヨウ素等の無機物が混ざった放射性廃液が発生し、従来から我々が実施している無機物のみの放射性廃液の処理方法が適用できないと考えている。放射性廃液中の有機物を除去するため、有機物の分解に有力と思われる処理方法の一つである電気化学酸化法による実験装置を作り、当該廃液に含まれる有機溶媒の分解を実施した。また、既に電気化学法による分解実績のある、疎水性のリン酸トリブチルについて試験的に分解し、実験装置の性能を確認した。これらについて報告する。
川瀬 頌一郎; 木村 敦; 原田 秀郎; 岩本 信之; 岩本 修; 中村 詔司; 瀬川 麻里子; 藤 暢輔
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の減容化や放射能毒性低減のため、マイナーアクチノイドについての高精度な核データが必要とされている。キュリウムは代表的なマイナーアクチノイド核種の一つであり、特にキュリウム244は使用済核燃料の処理で問題となる主要な中性子源・崩壊熱源とされている。今回、J-PARC MLFの中性子核反応測定装置ANNRIを使い、キュリウム244および246の中性子捕獲断面積の中性子飛行時間法による測定を11000eVのエネルギー領域について行った。シングルバンチ構造の中性子パルスを用いることで、以前のJ-PARCにおける測定に比べ、高いエネルギー領域まで中性子捕獲断面積データを得ることができた。本発表では、実験の概要、即発ガンマ線解析、中性子捕獲断面積の測定データ、そして過去の測定データや既存の核データと今回の測定結果の比較について報告する。
高橋 映奈; 坂下 慧至; 吉田 忠義; 柴 浩三
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表面汚染管理において、汚染を確実に発見することが重要であり、その際にサーベイメータの走査速度が大きく影響する。そのためサーベイ走査速度を変化させた実験を行い、速度と指示値の関係から確実に汚染を検知することのできる走査速度を検討する。評価方法として、線源を移動させずに静止させた状態で30秒測定したときの指示値を100%とし、それに対して各速度の指示値の割合を応答率として示した。今回はその結果および考察を報告する。走査速度が速いほど指示値は低い値を示した。静止させた状態で測定した値と比較した場合の応答率は最も速度の遅い10mm/sでも50%を切る値となった。また、線源強度の異なるマントル線源と密封線源の応答率は線, 線ともに大きな違いは見られなかった。また、得られた応答率とサーベイメータの限界計数率から実際に汚染を判断できるかどうかを考察した結果、線, 線ともに10mm/sで走査した場合でも管理目標値レベル(管理目標値: 0.04Bq/cm(), 0.4Bq/cm())の汚染を判断することができないという結果となった。ただし、サーベイメータの指示値と時定数の関係から、実際の現場で行われるサーベイ操作を考慮すると, ともに管理目標値レベルの汚染を判断可能と言える。
坂下 慧至; 高橋 映奈; 吉田 忠義; 柴 浩三
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放射線管理第2課では、再処理施設保安規定 第68条及び第97条に基づく記録として「管理区域における外部放射線に係る一週間の線量記録」を週に1度、「積算の線量測定記録」を四半期に1度それぞれ記録を作成している。エネルギー特性の異なる線量計を用いて同じ地点の測定を行っている場合、測定結果に相違が出る可能性がある。そこで、今回は定常モニタリングで用いられている線量計の妥当性を再確認する目的で、ガンマ線を測定しているICとTLDによる測定結果を比較するとともに、NaI(Tl)シンチレーション式スペクトロメータによるガンマ線スペクトルの測定を行った。
川崎 浩平
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本件は、MOX粉末を包蔵するグローブボックスの窓板に使用するポリカーボネート及びアクリルに対するプルトニウムから放出される線の影響を評価したものである。影響評価のため、積年10年分の線に相当するヘリウムイオンを照射した各試験片の外観観察並びに機械的強度(引張強度、伸び)の測定を行った。照射後、各試験片の表面に変色が見られ、化学構造の変化が確認された。これに対し、機械的強度は、それぞれ未照射の試験片に比べ破断点応力及び伸びが数十%低下した。この結果を検証するため、線照射による浸食を模擬し、ポリカーボネートの表面をサンドペーパーで擦った試験片を用いて引張試験を実施したところ、照射した試験片と同様に機械的強度の低下が見られた。以上から、ポリカーボネート及びアクリルは、線により表面がわずかな浸食でも機械的強度が低下する知見が得られた。
森下 一喜; 大西 貴士; 前田 宏治; 溝上 暢人*; 伊東 賢一*; 溝上 伸也*
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福島第一原子力発電所1号機格納容器内から採取された堆積物を硝酸に浸漬して得られた溶液の分析を実施し、これまでに報告されている堆積物の分析結果と類似傾向にあることを確認した。また、堆積物には微量のPu, Am, Cm等も含まれていることがわかった。この堆積物の分析結果について報告を行う。
柴沼 智博
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平成29年6月に発生した発生大洗燃研棟汚染事故では、グリーンハウス(GH)に係る資材調達や設営作業に手間取り、作業員退避までに多くの時間を要したため(5名で約2.5時間)、結果的に3名が内部被ばくする原因となった。本研究は、迅速な退避を可能とすべく、「大規模身体汚染対応用GH」の開発に取組んだ。開発したGHは、(1)展開・伸縮式軽量フレームの採用により、少人数で短時間に設置可能となり、資格, 専用工具, 脚立が不要となったこと、(2)GHを3つのユニットで構成し、汚染確認・除染作業を3個所で分業することにより除染処置を迅速に行えるようになったこと、(3)局所排気装置を配置することにより、GH内の流線を確保したこと、(4)フレーム剛性補助底板の採用により、フレーム剛性及びテント床面を補強したこと、(5)扉接続用アダプタの採用により、工程室出入口扉とGHを容易に接続可能としたこと、(6)GH資材運搬台車により、運搬時間を大幅に短縮したこと等の特長を有している。設計・試作を繰返し、最終的なGHについて機能確認試験を実施した。その結果、設置時間が大幅に短縮され(4名で合計約15分)、汚染者を速やかに退避することが可能になった。
豊田 晃大
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次世代高速炉設計では最大10サイクルの繰返し疲労が想定されているが、最適疲労曲線が規格化されているのは10サイクルまでであるのが現状である。本研究では研究の目的を最大10回程度の高サイクル疲労に適用できる高サイクル疲労評価法の開発とし、そのために課題として挙げられていた高サイクル疲労における平均応力効果の検討、及び最適疲労曲線の10サイクル以上への拡張を高速炉構造材料である改良9Cr-1Mo鋼で実施した。改良9Cr-1Mo鋼において10サイクル以上の疲労試験データ取得し、外挿法の適用性を確認した。また、平均応力効果の検討では、荷重制御による改良9Cr-1Mo鋼の平均応力疲労試験を行い、得られた結果を修正Goodman法により評価し同手法の適用性を確認した。
安倍 弘
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東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所(以下、1F)の事故において発生した燃料デブリは格納容器内に水没しており、核種の水中への溶出特性を把握することは重要と考えられる。燃料デブリは溶融・凝固の過程で複合相を成すことがTMI-2において採取された実デブリや1F事故を模した研究から報告されている。複合相を有する模擬デブリを対象に溶出試験を行う場合、通常の手法では各相の総和のデータしか得ることはできない。相固有の情報を得ることが可能であれば、溶出反応の機構について理解を深められると期待される。本研究においては、局所的な電気化学特性の評価が可能な走査型電気化学顕微鏡を用い、各相それぞれの電気化学特性を得ることで、燃料デブリの溶出反応の評価を試みた。